うつ病・適応障害 / Major Depressive Disorder・Adjustment Disorder

「朝、起き上がれない。仕事に行こうとすると体が動かない。」
「涙が止まらない。でも、なぜ泣いているのかわからない。」
「あの職場に戻ることを考えると、胸が締めつけられる。」
「以前は好きだったことが、何も楽しめなくなった。」

それはこころの弱さでも、甘えでもありません。
うつ病・適応障害は、誰にでも起こりうる疾患であり、適切なサポートで回復が期待できます。

うつ病・適応障害とは

うつ病(大うつ病性障害)とは

うつ病は、気分の落ち込みや意欲の低下が2週間以上続き、日常生活に支障をきたす疾患です。意志の弱さや怠けではなく、脳の機能に変化が生じている状態です。日本でのうつ病の生涯有病率は約5.7%とされており(川上憲人, 2016)、決して珍しい疾患ではありません。

しかし、発症後6か月から2年は未治療の状態が続くケースも多く、適切な治療を受けているのは患者の約3分の1にとどまるという報告があります。「気合いで乗り越えられる」「もう少し頑張れば大丈夫」と思いながら症状が悪化してしまう方も多くいらっしゃいます。

適応障害とは

適応障害は、特定のストレス因(職場の環境変化、転勤、離婚、引越しなど)によって、情緒面や行動面の症状が生じ、社会的機能が著しく障害されている状態です。WHO(ICD-10)は適応障害を「ストレス因により引き起こされる情緒面や行動面の症状で、社会的機能が著しく障害されている状態」と定義しています。

ストレス因が明確なため「原因さえなくなれば治る」と思われがちですが、ストレス因を取り除けない状況では症状が慢性化することがあります。また、適応障害と診断されても、5年後には40%以上の方がうつ病などの診断名に変更されるという報告もあり、早期のサポートが重要です。

出典:川上憲人 (2016) 日本におけるうつ病の生涯有病率調査/日本うつ病学会 うつ病看護ガイドライン(2022)/WHO ICD-10 適応障害の定義/American Psychiatric Association, DSM-5-TR(2022)

  
  

こんな症状ありませんか?

うつ病・適応障害の症状は「気分の落ち込み」だけではありません。身体症状や思考・行動の変化として現れることも多く、「まさか自分がうつとは」と気づきにくいケースも少なくありません。

① 気分・感情の変化

  • 気分が落ち込んでいる、悲しい気持ちが続く
  • 以前は楽しめていたことが、何も楽しめない
  • 何をしても空虚な感じがする
  • 涙もろくなった。または、泣きたいのに涙が出ない
  • 自分が無価値だ、役に立たないという気持ちが続く
  • 死にたい、消えてしまいたいという気持ちが浮かぶことがある
 
 

② 身体症状

  • 朝、体が重くて起き上がれない
  • 眠れない、または眠りすぎてしまう
  • 食欲がない、または食べすぎてしまう
  • 慢性的な疲労感がある
  • 頭痛、肩こり、胃腸の不調が続く(内科を受診しても原因が見つからない)
 
 

③ 思考・認知の変化

  • 集中力が続かない、物事が決められない
  • 「自分がすべて悪い」という考えが頭から離れない
  • 将来に希望が持てない
  • 何事も悲観的に考えてしまう
 
 

④ 行動の変化

  • 仕事や学校に行けない日が続いている
  • 人に会いたくない、連絡を返せない
  • 趣味や好きなことをする気になれない
  • アルコールの量が増えた

適応障害では、特定の場所や状況に関連したときだけ症状が強く出るのが特徴です。「職場に行こうとすると体が動かないが、休日は比較的楽」という方も多くいらっしゃいます。

出典:国立精神・神経医療研究センター こころの情報サイト/厚生労働省「こころの健康」適応障害/American Psychiatric Association, DSM-5-TR(2022)

うつ症状のセルフチェック(PHQ-9)

以下のチェックリストは、医療現場で広く使われているPHQ-9(Patient Health Questionnaire-9)をもとにしています。DSM-5のうつ病診断基準に対応した9項目で、スコア10点以上の場合、うつ病の可能性があることを示す感度・特異度はともに約0.85と報告されています。全項目を選択すると自動でスコアが計算され、結果に応じてご案内します。

DEPRESSION SELF-CHECK

うつ症状のセルフチェック(PHQ-9)

過去2週間で、以下のことがどのくらいありましたか?
各項目について最も当てはまるものを選んでください。

このチェックはスクリーニングを目的としたものであり、診断ではありません。診断は医師のみが行えます。
出典:Kroenke K, Spitzer RL, Williams JB. (2001). The PHQ-9. Journal of General Internal Medicine
全く
なかった
0
数日
あった
1
週の半分
以上
2
ほぼ
毎日
3

1. 物事に対してほとんど興味がない、または楽しめない

2. 気分が落ち込む、憂うつになる、または絶望的な気持ちになる

3. 寝つきが悪い、途中で目が覚める、または逆に眠りすぎる

4. 疲れた感じがする、または気力がない

5. あまり食欲がない、または食べ過ぎる

6. 自分はダメな人間だ、人生の敗北者だと気に病む、または自分自身あるいは家族に申し訳がないと感じる

7. 新聞を読む・テレビを見るなど、物事に集中しにくい

8. 他人が気づくぐらいに動きや話し方が遅くなる、あるいは反対に、そわそわしたり、落ちつかず、ふだんよりも動き回ることがある

9. 死んだ方がましだ、あるいは自分を何らかの方法で傷つけようと思ったことがある

出典:Kroenke K, Spitzer RL, Williams JB. (2001). The PHQ-9: Validity of a Brief Depression Severity Measure. Journal of General Internal Medicine/Levis B et al. (2019). Accuracy of Patient Health Questionnaire-9 (PHQ-9) for screening to detect major depression: individual participant data meta-analysis. BMJ, 365, l1476/村松公美子ら (2018). PHQ-9日本語版の信頼性・妥当性の検証. General Hospital Psychiatry

  
  

放置するとどうなるの?

うつ病・適応障害は、適切なサポートを受けずに放置すると、症状が慢性化・悪化するリスクがあります。

① 慢性化・再発のリスク

うつ病患者の50%以上が再発を経験するともいわれています(Burcusa & Iacono, 2007)。適切な治療を受けずにいると、一度回復しても再発しやすくなります。また、適応障害を放置すると、5年後には40%以上がうつ病などの診断名に変更されるという報告もあります。

② 「頑張る」ことでの悪化

うつ状態のときに無理に頑張ると、脳と身体への負担がさらに増し、回復が遅れることがあります。「もう少し頑張れば」という気持ちが、かえって症状を悪化させる悪循環につながることがあります。

③ 対人関係・仕事への影響

意欲の低下や集中力の低下が続くことで、仕事のパフォーマンスが落ち、人間関係にも影響が及ぶことがあります。結果として自己嫌悪がさらに深まり、回復を難しくすることがあります。

④ 早めの相談が回復を早める

うつ病は早期に治療を始めれば、回復もそれだけ早いと言われています。「まだそこまでじゃない」と感じる段階でのご相談を歓迎しています。

出典:日本うつ病学会 うつ病看護ガイドライン(2022)/Burcusa SL & Iacono WG (2007). Risk for recurrence in depression. Clinical Psychology Review, 27(8), 959-985

  
  

治療法と根拠

うつ病・適応障害には、科学的根拠のある治療法が複数存在します。INSIGHTIAでは、お一人おひとりの状況に合わせて最適なアプローチをご提案しています。

① 認知行動療法(CBT / Cognitive Behavioral Therapy)

CBTはもともとうつ病に対する心理療法として開発されたものです(Aaron T. Beck, 1960年代)。国立精神・神経医療研究センターは、CBTを「ストレスなどで固まって狭くなってしまった考えや行動を、ご自身の力で柔らかくときほぐし、自由に考えたり行動したりするのをお手伝いする心理療法」と説明しています。

Cuijpers et al.(2023)による409試験・52,702名を対象とした大規模メタ解析では、CBTはうつ病に対して中程度から大きな効果量を示し、短期的には薬物療法と同等、長期的には薬物療法より有効であることが示されています。

出典:国立精神・神経医療研究センター 認知行動療法センター/Cuijpers P et al. (2023). Cognitive behavior therapy vs. control conditions, other psychotherapies, pharmacotherapies and combined treatment for depression: a comprehensive meta-analysis including 409 trials with 52,702 patients. World Psychiatry, 22, 105-115.

② 来談者中心療法(Person-Centred Therapy)

Carl Rogersが開発した来談者中心療法は、共感・無条件の肯定的関心・自己一致という3つのコアコンディションを通じて、クライエント自身の成長力を引き出す心理療法です。

Barkham et al.(2021)のRCTでは、来談者中心療法(Person-Centred Experiential Therapy)は中等度〜重度のうつ病に対してCBTと6か月時点で非劣性(non-inferior)であることが示されています。またElliott et al.(2013)の大規模メタ解析では、来談者中心療法は全般的に大きな効果量を示しています。「技法」よりも「関係性」を重視するアプローチであり、自分のペースで安心して話せる環境を求める方に特に適しています。

出典:Barkham M et al. (2021). Person-centred experiential therapy versus cognitive behavioural therapy delivered in the English Improving Access to Psychological Therapies service for the treatment of moderate or severe depression. The Lancet Psychiatry/Elliott R et al. (2013). Research on humanistic-experiential psychotherapies. In Lambert MJ (Ed.), Bergin and Garfield's Handbook of Psychotherapy and Behavior Change (6th ed.). Wiley

③ 薬物療法との組み合わせ

SSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害薬)などの抗うつ薬が、うつ病症状の軽減に有効なケースがあります。薬によって症状が安定した状態で心理療法に取り組むと、より効果的に進められることがあります。薬の処方については精神科・心療内科の医師にご相談ください。INSIGHTIAでは処方を行っておりません。

出典:国立精神・神経医療研究センター こころの情報サイト/厚生労働省「こころの健康」うつ病

どのアプローチが合うかわからない方へ:初回セッションでお話をお聞きした上で、あなたに最適なアプローチをご提案します。まずはご相談ください。

  
  

INSIGHTIAの特徴

① CBTと来談者中心療法、両方を提供

INSIGHTIAでは、認知行動療法(CBT)と来談者中心療法の両方を提供しています。「技法的に取り組みたい」「まずは安心して話せる場所が欲しい」どちらのニーズにも対応できます。お一人おひとりの状況に合わせて柔軟にアプローチを選びます。

② 職場・バーンアウトの困りごとに対応

職場でのストレス、人間関係の困りごと、限界を超えて働いてきたバーンアウト状態など、仕事に関連したうつ・適応障害のご相談を多く受けています。職場復帰に向けた段階的なサポートも行います。

③ 環境変化への適応をサポート

転職・転勤・引越し・離婚・留学など、生活の大きな変化をきっかけに発症する適応障害のご相談も多くいただいています。「なぜ自分だけうまく適応できないのか」という自己否定感にも、一緒に取り組みます。

④ 在日外国人・多文化背景を持つ方へのサポート

日本語・英語どちらでもセッションを提供しています。文化的背景の違いや、異文化環境でのストレス、マイノリティとしての生きづらさなど、多文化的な文脈でのうつ・適応障害にも対応しています。

⑤ 中学生(12歳)以上対応

思春期のうつ・適応障害にも対応しています。学校のスクールカウンセラーとの連携も可能です。

よくある質問

Q1. カウンセリングと精神科・心療内科、どちらに行けばいいですか?

どちらか一方ではなく、併用をお勧めするケースが多いです。

精神科・心療内科では、診断と薬の処方が受けられます。薬によって症状が安定した状態でカウンセリングに取り組むと、より効果的に進められることがあります。INSIGHTIAでは処方は行っておりません。

現在医療機関に通われていない方も、まずご相談ください。必要に応じて医療機関へのご紹介を行います。

Q2. 休職中ですが、カウンセリングを受けられますか?

はい、お受けできます。

休職中の方のご相談も多くいただいています。休養を取りながら、少しずつ自分のペースで取り組んでいただけます。職場復帰に向けた段階的なサポートも行っています。

「今の自分の状態でカウンセリングを受けてよいのか」と迷っている方も、まずご相談ください。

Q3. 適応障害とうつ病の違いは何ですか?

最も大きな違いは、明確なストレス因があるかどうかです。

適応障害は、特定のストレス因(職場・人間関係・環境変化など)と症状の間に明確な関連があります。一方、うつ病は必ずしも明確なきっかけがなくても発症します。

ただし、適応障害が長期化するとうつ病に移行することもあります。「どちらかわからない」という段階でも、まずご相談ください。診断は医師のみが行えますが、INSIGHTIAで症状の整理をお手伝いすることができます。

Q4. 子どもでも受けられますか?

中学生(12歳)以上の方を対象としています。

思春期は、学業・友人関係・進路・家族関係など多くのストレスが重なりやすく、うつ・適応障害が発症しやすい時期でもあります。

保護者の方からのご相談も受け付けています。在籍している学校のスクールカウンセラーとの連携も可能です。まずはお気軽にお問い合わせください。

Q5. オンラインでも受けられますか?

はい、対応しています。

INSIGHTIAでは、対面セッションに加え、オンラインでのカウンセリングも提供しています。国内在住の方はもちろん、海外在住の方もご利用いただけます。日本語・英語どちらでも対応しています。

Q6. 英語でのセッションは受けられますか?

はい、日本語・英語どちらでもセッションを受けていただけます。

在日外国人の方、英語でのセッションを希望される日本人の方、どちらもお受けしています。初回のお問い合わせも日本語・英語どちらでも構いません。

「もしかして」と思ったら、まずご相談ください。

うつ病・適応障害は、適切なサポートで回復が期待できる疾患です。一人で抱え込まず、まずご相談ください。

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